読書一覧

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私の評価 読書年月
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 明野照葉 海鳴 歌手への夢を絶ち母となった主人公が、娘の才能を知り、歌手にしようとする物語。 2006年6月
 浅倉卓弥 君の名残を 剣道を愛する幼馴染の高校生男女が平安末期の平家物語の時代にタイムスリップして、生き抜く物語。
歴史小説にSFをミックスさせ、「運命、神」と「個人の意思、人生」をテーマにした面白い小説だった。
2006年2月
 浅田次郎 椿山課長の七日間 ☆☆☆☆*

タイトルから、『忙しく働く課長さんが主人公で、浅田さん得意のヤクザ絡みかな』と予想して読み始めた。
ところがどっこい、なんと椿山課長が亡くなってからの七日間の物語。それも本人がメイドから戻ってくるという。

2008年10月
月下の恋人 浅田次郎らしい、人情物短編集。楽しく読めた。
情夜、告白、忘れじの宿、あなたに会いたい、月下の恋人など11篇の物語が収められている。
2007年3月
月のしずく 浅田次郎らしい人情物の短編小説集。一つ一つの短編は彼独特の心の世界が描かれおり面白い。 2006年8月
草原からの使者〜沙高楼綺譚 これまで口に出来なかった自分の体験を語り合う有力者達の秘密の会合。ここで聞いたことは他言無用。そこで語られた4つの秘話とは・・・ 2006年4月
地下鉄に乗って 父との確執が原因で若くして家を出た主人公真治。苦労しながらも家庭を築き地道に生きてきた中年真治が、地下鉄の階段を上がると、そこは30年前の世界が・・ 2006年2月
憑神

浅田次郎さんらしい「人」を描いた作品。舞台は江戸末期、出世を狙って婿入りした家を離縁されたツキのない主人公が・・・

2006年1月
 浅野裕子 贅沢な孤独 裕福な結婚生活が壊れ、孤独に揺れ動く女性の心を描いた作品。 2006年6月
 阿刀田高 楽しい古事記 ☆☆☆** 古事記も日本書紀も学校で習っただけで、しっかり読んだことはない。本書は阿刀田さんが、分かりやすくそして面白く古事記を見せてくれる。 2008年12月
陽気なイエスタデイ

著者の過去の出来事を題材にしたエッセイ集。 
7話の青春イエスタデイ、気儘なイエスタデイ13話と日々の話題を3つに分けて纏めてある。

2008年8月
 安部晋三 美しい国へ 政治家「安部」の考えがよく表現されており、首相としての活躍を期待させる本だった。しかし、本自体は少しくどく、もっと薄い物でも良かったと感じた。 2006年10月
 有川浩 空の中 1、2ページを読み始めると、『200X年・・・・・・・・快調なエンジンはあっという間に機体を1万9000メーターに上げた。そして2万、その高度に到達したとたんに機体が爆発炎上した』・・。面白そう!っと即購入して、読み始めた。 2008年7月
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 池澤夏樹 光の指で触れよ ☆☆☆☆*

風力発電の技術者の林太郎、専業主婦の妻ナオミ、高校生の息子と幼稚園児の娘の四人家族は、林太郎の不倫がきっかけで、妻と娘が家を飛び出してオランダに住むことになった。家族は崩壊へ向けて進むが、家族一人一人の心の動きを整然とした文章で描く。

2009年1月
 池永陽 雲を斬る 仇を探して江戸に来た貧乏長屋に住む浪人「由比三四郎」が繰り為す剣豪人情物語。軽快なタッチで生きいきと描かれており、どんどんページが進んだ、楽しい本だった。 2006年8月
 伊坂幸太郎 ラッシュライフ

今、読みたい新潮文庫第3位と帯が付いていたので、買ってみたが、今一だった。
泥棒の男、新興宗教を信じる男、不倫相手の妻の殺害を企てる女、失業して絶望している男・・など、それぞれ異なった『ラッシュ』ライフを送る複数の物語が平行して進む。
しかし、そこにはある接点が・・・

2008年1月
 石原結寛 春夏秋冬「体を温めて」病気知らず! 35度台に下がっている体温を一度上げて、36度台にするだけで免疫力は5〜6倍強くなるらしい。たったそれだけで、病気を遠ざけることが出来るとある。
本書は体内の水の量が体温や病気と関係しているといい、体温を上げる方法を季節ごとに示している。
2007年12月
 石和鷹 クルー

柔不断で不倫を繰り返す男とその家庭の崩壊と再生を描いた作品。芸術選奨文部大臣賞受賞作とあるが、あまり好きになれない作品だった。
家庭における夫、父親の役目はなんだろうか? 
この本はその反面教師的な主人公の物語だ。でも現実的に考えた時、これほどまでに家庭を顧みず、女のことセックスのことを考えている男性がどれほどいるだろうか?
そういう意味で全く共感を持つことが出来ず、いまいちの物語展開だった。

2007年11月
 石持浅海 月の扉 不登校などの問題児を僅か数日間で治す特殊な能力を持つ『師匠』を慕う3人が、那覇空港でハイジャックをする。目的は逮捕された師匠を単に空港に連れて来させるだけ・・・ 2007年5月
 絲山秋子 海の仙人 川端康成文学賞を受賞した期待の新鋭の初長編とのこと。一気に読んでしまった。
社会に適応できず一人暮らしする主人公「河野」と二人の女友達「かりん」「片桐」との話。そこにファンタジーと呼ばれる神様が絡んできて、不思議な世界を形成している小説。読んでいて、ふんわりとした暖かな風を感じた。
2006年3月
 市川拓司 そのときは彼によろしく

長澤まさみ主演映画の原作です。同僚が読んだ本を回して貰いました。こてこてのラブストーリーです。
この作家、「いま会いに行きます」も書いており、純愛物が好きなのでしょうか。
舞台は15年前の中学生時代と現代とが行き来するが、初恋をしっかりと心に残した男と女の話。そこに『眠り姫』の不思議な世界が重なる。

2008年1月
 伊東剛 大地の彩 写真集 確か美瑛から富良野に入る深山峠に、著者の写真館を見かけたように記憶している。拓真館で素晴しい写真を見た後だったので、素通りしてしまった 2008年5月
 井上清司 花の魅力を撮る 鉢植えを買ってきて、室内や背景のきれいな屋外で花のクローズアップ写真を撮る。廿樂さんの本と同様に、背景紙や銀レフ、三脚の使用が必須の撮り方。 2006年8月
 井上ひさし ふふふ 一つの話題が数ページのエッセイ集。 著者の博識と観察力には感心させられるが、全てに落ちがあり、楽しく読めた。 2006年9月
 井上靖 氷壁 穂高でのザイル切断事故をモチーフにした小説。解説には恋愛小説となっているが、私としては??。 2006年4月
 今江祥智 袂のなかで

ほんわりした小説という感じだろうか、ゆったりとした気分で読める本でした。
戦前から戦争、戦後を逞しく生き抜いた料理人の夫婦、特に妻が主人公の話だが、『悪』というものが全くない物語。いい義母、いい夫、いい妻、そしていい男といい女ばかりが物語を進める。

2006年6月
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 上野創  がんと向き合って 

26歳の著者が突然『睾丸がん』の宣告を受け、翌日入院、明後日手術となった。既に癌は肺にも転移している最悪の状態。
本書はその著者の闘病記だ。客観的に自分を見つめて心を暴露している。

2007年4月
 植松三十里 千の命 ☆☆☆** 江戸時代に実在した産科医『賀川玄悦』を描いた伝記的小説。自分の母を出産時に亡くしたことから、医者になることを決意し、独学で世界的に知られる医師にまでなる。
職業の自由が殆どなかった江戸時代に、家を飛び出してくず鉄集めと鍼治療で生計を立てながら目標に向かう姿は凄い。
2008年12月
 薄井ゆうじ 午後の足音が僕にしたこと 一つの作品が10頁程度の超短編、22作が纏められた短編集。
やる気の起こらないけだるい男の内面が見えてくる主題がほとんど。読んでいて、「なんだこいつは」と思いつつも、最後まで読ませる何かがあった。
2006年8月
 内海隆一郎 風のかたみ

現代に生きる主人公達が、ふと、3、40年前の過去を思い出す。人の性格や生き方は変わらない、そして誰もが過去を積み重ねて生きている自分がいる。
人生を妻や夫と共に生きてきた主人公達の哀愁が心を揺さぶる短編集。

2006年9月
 海月ルイ 十四番目の月 ☆☆☆☆*

誰も死なないし、誰も捕まらないちょっと変わったミステリー。
脱サラしてリサイクルショップの開店準備をしている夫と専業主婦樹奈の一人娘が誘拐される。犯人からの要求は2000万円。万全の操作体制の中、無線マイク等を付けた樹奈が犯人が指定した場所に出かけるが・・・

2008年12月
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 絵門ゆう子 がんと一緒にゆっくりと 『あらゆる療法をさまよって』の副題にあるように、癌告知を受けてからの著者自身のさまよい続けた治療実績が心の揺れと共に記されている。 読んでいて辛い闘病記だった。 2007年5月
 遠藤周作 おバカさん ☆☆*** 銀行員の隆盛の所にペンフレンドだったフランス人がやってくることになった。ナポレオンの子孫ということで、妹の巴は期待をしたが、想像と現実とのあまりの落差にガックリとする。
そんな彼が、いくつかのトラブルに巻き込まれていくが・・
2009年2月
生き上手 死に上手 ☆☆☆** あとがきで、「家族が茶の間に集まって、その中で、父親が息子や娘に自分の人生経験をふくめてポツリポツリ無駄話をする−−そんなエッセイ集を作りたい」と著者が書いているが、まさにその通りのエッセイ集に仕上がっている。 2008年9月
心の航海図 著者が新聞か雑誌の連載に書いていたものを纏めて一冊にした本なのだろうか、時事問題を取り上げたエッセイが多い。
そして、著者の素直な気持ちが語りかけるような文体で書かれており、「ほんとそうだな」と頷きながら楽しく読めた。
2008年8月
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 大石直樹 パレスチナから来た少女 イスラエルとPLOとの間で繰り広げられる謀略戦と女テロリストの戦い、それにパレスチナ難民キャンプで起きた虐殺を生き残り日本で育てられた少女が絡み合って繰り広げられるミステリー。冒頭数ページで血の気が引く衝撃を受け、一気に引き込まれていった。 2007年10月
 大島真寿美 虹色天気雨 エッセイストだったろうか、雑誌記者だったろうか思い出せないが主人公の市子と幼馴染の奈津とまりを中心とした都会に住む30代後半の女性達の日常を軽快なタッチで描いた作品。 2006年12月
 岡島二人 99%の誘拐

誘拐の動機が世間常識と異なっており、最先端のITを駆使しているサスペンス。
最初の2ページで強烈に惹きつけられ、一気に読んでしまった。

2006年1月
 岡田尊司 脳内汚染 ゲームやインターネットが子供に与える影響は感覚ではわかっていたが、ここまでのデータで示されると「恐怖」を感じる。
これから子供を持つ若い世代に、是非読んで欲しい本である。 自分の子供や家庭を幸せにするために。
2006年2月
 小川洋子 博士の愛した数式 事故によって80分間の記憶しか残らない元数学教授とそこに勤めることになった家政婦とその10歳の息子の心温まる物語。 2006年1月
沈黙博物館 何でこんなことを考えたのだろうというのが、読み始めに持った印象だ。
街の名前も登場人物の名前も一切出てこないし、博物館は亡くなった人の『形見』を展示するというとんでもないのもであり、僧侶が修行で行き着く先は、『沈黙』。そう、不思議な世界の中の出来事だ。
2007年11月
 荻原浩 あの日にドライブ ☆☆*** 左遷に反発して会社を辞めた40代の牧村、ドライバーとしてタクシー会社に勤務するが成績は上がらない。仕事は面白くなく、家族からも孤立しかかっている。
そんな状態だから、学生時代の恋人と結婚していたら、あの会社に勤めたら・・・と人生の分岐点から違う人生を空想する楽しみを見出した。
2008年12月
神様からのひと言 バブルの崩壊で会社を辞めた男性の物語。ユーモアのある軽いタッチで、会社生活と独身男性の恋を描き出し、現在の多くの会社に潜んでいる問題点を浮き出している。 2008年4月
 小澤徳太郎 スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」 スウェーデンと比較して、日本の現状を明快に批判している。環境問題に興味のある方にはお薦めの本です。 2006年7月
 乙川優三郎 冬の標 幕末の激動期に、自分の人生を生き抜いた女性のダイナミッ クな半生が描かれている。人はなぜ生きるかを「絵画を生きがいとする女性」と「しきたり」を通じて語りかけるいい本だった。 2006年1月
霧の橋 武士を捨て紅を製造販売する小店の主人になった惣兵衛と妻おいとの物語。
完全に商人になりきれない惣兵衛に対して、大店が乗っ取りを図る。やっと築いた妻との平和な家庭を壊されてたまるかと、必死に対抗策を練る惣兵衛。その過程で段段と商人になっていく。一方、夫婦関係は円満に推移するが、ある事件からギクシャクしだす・・・
2006年2月
 恩田陸 ユージニア ☆☆☆**

数十年前に起きた大量毒殺事件。それに関連した人々それぞれの観点から、事件を振り返る。そして徐々にその真相が明らかになってくる・・
一人一人が事件を振り返るのが一つの章になっており、章毎に、何度も何度も事件が思い出され解析される。

2008年10月
夏の名残りの薔薇

第一の印象は変わった本だなかな。ミステリーのようであり、誰も死なないし謎解きもないのでミステリーでない。でもやっぱりミステリーなのかなという、本だ。
コンツェルンのオーナーの老三人姉妹とその甥、姪たちが山奥のホテルを貸しきって過ごす数日間を描いている。
この三人には秘密があり、皆から恐れられているし。甥たちの間にも愛憎、不倫がうごめく。そしてそこには殺意が。

2008年4月
蛇行する川のほとり 女子高生たちのひと夏の物語。憧れの上級生・香澄と芳野から、演劇で使用する背景画の作成をしようと、合宿に誘われ、胸躍らせて参加する毬子だったが、そこに待ち受けているのは、子供時代の秘密・・・。 2007年8月
ライオンハート 時空を超えて愛し合う美しい娘と男の恋愛?物。 読み始めるとめり込んでいき、一気に読んでしまった。2005年度今読みたい新潮文庫の第1位の本だ。 2006年1月
ねじの回転(上、下) 近未来の国連が時間遡行装置を用いて、過去に介入して歴史を改変・修復しようとする。2.26事件を改変しようと送り込まれた国連職員と歴史の真っ只中にいる反乱日本軍青年将校たちとが織りなす物語。 2006年1月
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 カイル・ヴァン・ウォルフレン 世界が日本を認める日 タイトル通り、日本の今後たどる道をアメリカを中心とした政界情勢の中で示している。
結論はアメリカ追随をやめること、アメリカのフィルターで世界を見ないこと、欧州との関係を重視することにある 著者は日本駐在をしていたオランダの記者であり、欧州人の目から見た世界観が述べられている。アメリカからの情報発信が多い中で、面白い本だった。
2006年1月
 角田光代 小さな幸福 ☆☆*** 12人の主人公の一番心に残るデートからなる短編連作だ。小説とは別に、女性達が投稿した心に残るデートが多数掲載されている。 2009年1月
 梶尾真治 つばき、時跳び ☆☆☆☆*

幽霊を見た。顔が良く見えなかったので、もう一度見ようと良く出現する廊下で転寝をする主人公。そこで見たのは、洗い髪を乾かすあまりにも美しい女性の幽霊だった。
そこからこの物語が始まる。ぞくっとする導入だ。でもこれはホラーではなくSF・恋愛小説だ。

2009年4月
 鹿嶋敬 雇用破壊 バブル以降に増加してきたパート、派遣社員の問題を雇用 側、労働者側、社会問題の視点から取り上げた一冊。 2006年2月
 風野潮 森へようこそ 植物再生に携わる父と子供たちのメルヘンチックな物語。小中学生に是非読んで欲しい本だ。 2007年3月
 片桐一男 それでも江戸は鎖国だったのか ☆**** 本書の副題は『オランダ宿 日本橋長崎屋』とあり、本書はまさにそれがどんなものかを、史実を調査して纏めたものだ。長崎屋そのものの資料は殆ど残っていない。著者はその他の文献・資料を調査して、長崎屋関連の事実を探し出して、纏めている 2009年2月
 桂望実 明日この手を放しても 19歳で突然失明した少女と家族の物語。愛情たっぷりのハートフルな小説だ。
失明した凛子は、途中失明の喪失感からやっと立ち直り始め、白い杖での歩行訓練を始める。そんな時、視覚障害者をテーマに漫画の原案を凛子にという話が持ち上がった。
躊躇する凛子に『頑張れ』と言った父が突然行方不明に。
2007年11月
 鎌田實 がんに負けない、あきらめないコツ  癌にならない、なった人は癌に負けないコツを紹介しています。最後に書いてある「負けないコツ七か条」 2008年5月
 上坂冬子 抗老期 ☆☆*** 老いを感じるのはどういう時だろうか、著者はその一つとして『昔のことを鮮明に思い出す』ことと言っている。これは同感だ。
30代、40代の頃よりも、その頻度が上がっているように感じる。
2008年12月
 上村達雄 夫婦が試されるとき ☆☆☆** 副題には「アルツハイマー病の妻と生きる」
著者は子供の頃から身体が弱く、妹と共に結核に侵される。妹は亡くなるが自分は生き残り、やがて保母さんで既に40歳に到達していた7歳年上の奥様と出会う。
そして定年後に、妻がアルツハイマーを発病。現在の千葉県の老人施設に入る。
2009年2月
 神山裕右 サスツルギの亡霊 南極観測隊を舞台にしたサスペンスだ。前作がケービングでの洞窟内サスペンス、今回が南極と限界の地が好きな作家なのだろうか? 面白かった。 2006年3月
カタコンベ ケイビングスペシャリストが主役のミステリー。 殆どが洞窟の中でのアクションであり、一般人にはなじみない世界でストーリーが展開するのが面白い。ワクワクしながら一気に読める作品であった。 2005年5月
 川上健一 地図にない国 ☆☆☆☆* 頭にデッドボールを受け、恐怖感から野球が出来なくなったホームランバッターの三本木慎。引退かそれとも復帰かと悩み、心の休養のために欧州を旅する。そこでであった者は・・・ 2009年2月
風の仲間

ニューヨークのパブリックゴルフ場を舞台に、そこをホームコースとしている謙二とその仲間達が繰り広げる出来事を軽快なタッチで描く短編小説集。
巻末を見るとゴルフ雑誌に連載されていたものらしい。ゴルフをしない私でも楽しく読めた。

2008年5月
 川上弘美 センセイの鞄 30代半ばのOL「ツキコさん」と高校時代の国語の教師「センセイ」の恋愛小説。主人公「ツキコさん」の随筆様に書かれており、短編を集めた様な本だ。 2006年5月
光ってみえるもの、あれは 思春期の心の揺れを描いた作品。登場人物が鮮やかに描かれており、自分の若いときを懐かしく思い出した。 2006年4月
蛇を踏む × 裏表紙の「蛇を踏んだ。『踏まれたので仕方ありません』と声がして、蛇は女になった・。『あなたのお母さんよ』と・・・」と読んで、メルヘンの世界を予想して読み始めた。
しかし、期待に反して・・・ 全く面白くなかった。 
2005年12月
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 菊池英博 増税が日本を破壊する 現在の財政再建は「粗債務」で見ているからで、国家財産の多い日本は「純債務」で債務を見るべきだという著者の主張が繰り返し述べられている。 読んでいてちょっとくどかった。 2006年3月
 菊地秀行 懐かしいあなたへ × 主人公の主体が非常に不安定な物語の短編集。 「どこへ」「単身赴任」「俺と俺」「仮面生活」まで読んで止めた。 2006年3月
 岸本葉子 がんから始まる ☆☆☆** 著者はエッセイ作家で、2001年にS字状結腸がんが見つかる。その発見から病院探し、手術、予後までの闘病記。その当時の心境を包み隠さず、冷静に見つめて書いている。そして、Wikipediaで見るとその後は元気に作家活動を続けられているようで、ほっとした。 2008年11月
 杵島隆 櫻の四季 写真集

年の桜のシーズン、気に入った写真が撮れなかった。図書館に行くと標題の写真集があったので、借りてきた。見ていて、ワーッと感激する写真がない。

2008年5月
 桐生典子 金色の雨がふる 現代に生きる主人公「奈生子」と過去に生き亡霊としてさまよう「アヤ」とが織りなす愛の生き様を、明治と現代2つの時代を交錯させて描いている。独立に進行する二人の時代を超えた二つの物語は、やがて接点を持つことになるが、人の「心」と「生」をテーマにした小説だ。 2006年11月
 桐野夏生 魂萌え!

会社の同僚女性が面白いからと貸してくれた本。
59歳の敏子は、既に家を出た息子と娘、夫との4人家族のサラリーマン世帯。毎日を恙無く生活をしていた家庭だ。物語は、そんな家庭で、突然夫が死んだことから始まる。

2007年9月
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 熊谷達也 邂逅の森 明治〜昭和にかけて、秋田の山奥でマタギとして生きた男・富治の半生を描いた作品。当時の貧しい暮らしや山の神や伝統を重んじる暮らしを通じて我々に富治が語りかける。 2006年1月
 倉阪鬼一郎 夢見の家 × タイトルからどんなファンタジーが展開されるのか、超能力者がでてくるミステリーかと、期待を胸に読み始めた。 しかし、ガックリ、ホラーだった。 私の好みではないので、×とした 2006年10月
 倉本四郎 往生日和 ☆☆☆**

本書は両親を引き取った末っ子夫婦と父、兄弟たちの確執など、最期の数ヶ月間を物語る。
既に脳梗塞で右側が麻痺している父が再び倒れた。既に心臓が止まり呼吸もしてない。そんな父にしがみつき泣く息子を上空から眺める父親。

2008年12月
 玄侑宗久 まわりみち極楽論

帯に「中高年危機のために送る体と心が『楽』になる方法」とあり、手にとった作品。
「人間関係に悩んだら」、「ウソについて」、「自分自身と向き合う」、・・・等の19の断面で『人』と『極楽』について、僧侶作家の目から見た思いが述べられています。
心を楽にしたいと思っている人は一読されるといいかもしれません。

2006年12月
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 小池真理子著 水底の光

パレ・ロワイヤルの灯、水底の光、愛人生活なのど6編を収めた短編集。妻子ある男と若い女の恋と別れ、共に不倫の男女、妻子ある男と離婚した女、未亡人と金のある男の話・・・などなど、楽しい恋愛ではない話ばかりだ。

2008年3月
 黄文雄 中国こそ日本に謝罪すべき9つの理由

今の日本と中国の関係を史実に基づいて展開している。
しかし、題名から予想されるようにかなり日本よりの主張がなされているが、読んでいてくどくなった。
著者は、「日本人は本質的に優しい民族、和の民族であるのに対して、中国は全く逆。搾取の民族である。空きあれば騙そう、騙された方が悪いという民族である。中国の謝罪要求にすべて応じている日本人は、勇気がなく、何んでも言うことを聞く民族と思われるだけだ。」という。

2006年1月
 児玉知之 「名医」のウソ ☆**** 出張の帰りに立ち寄った本屋で手に取った本。副題に「病院で損をしないために」とあり、帯には「知らない患者はバカを見る! 病院ガイドではわからない本当のポイント」とあり、読む気になった。 2008年10月
 小杉健治 父からの手紙 ☆☆*** 主人公の麻美子は好きな男性の会社を救う為に、好きでもない男との結婚へ進む。それに反対する弟。
やがて、婚約者の男が殺され、殺意を日記に書いていた弟が逮捕される。
弟を救うべく、麻美子が必死で動く。その糸口に、子供の頃失踪した父が・・・
2008年11月
 小林淳宏 定年からが面白い × 昭和59年に定年を迎えた著者の現役時代と定年後を纏めた本。定年後は年金と朝4時から6時までの早朝翻訳の翻訳料で、趣味三昧で暮らす。
ちょっとついていけなかった。
2006年7月
さ行 TOP
 笹本稜平 極点飛行 笹本稜平著 南極を舞台にした冒険サスペンス。
想像を絶する極寒の南極で、飛行アクションや戦争まがいの攻防を繰り広げるが、そんな中での初々しい主人公の恋。映画にしたら面白そうな小説だ。
2008年4月
 さだまさし 眉山

昨年映画化された『眉山』の原作だ。是非とも映画を見てみたいと思わせる読後感を与えてくれた感動作だった。
きっと、情景が目に浮かぶように描かれいる阿波踊りの場面を映画で見たら素晴しいだろうな、と思う。
物語は、末期癌患者の母と、その母を看病するために東京から戻ってきた一人娘『咲子』とを中心に展開する、徳島でのひと夏が描かれている。

2007年7月
 佐藤多佳子 黄色い目の魚 本屋大賞になっているのが分かる、ほんのりと切ない青春小説だ。もう遥か昔に通り過ぎた青春だが、自分の青春と重ね合わせ、こんな本はいつ読んでも心がほっとする感じがする。 2008年7月
 佐藤典司 経済成長はもういらない 

「経済成長はなんだろうか。それはスポーツジムにあるランニングベルトのようなものではないか。駆け出せば、目の前のメーターのデジタル表示は増え続ける。だが、実際はそこに突っ立ったままだ。せわしなく足を動かしても、目指すところは、蜃気楼のようにかなたに見え隠れするだけで、今日も同じところを巡っている。 真の成長とは、もっと確かのものを手に入れることではないだろうか。」
このフレーズには、筆者がこの本で言いたいことが凝縮されていると思います。

2006年11月
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 重松清 カシオペアの丘で これまでの人生で、人を許せないことや自分を許せないことってあるでしょうか。その為に、自分の人生が左右されているようなことが。本書はその『許し』が主題の物語だ。 2007年9月
ビタミン F 若くはないが歳もとってない、丁度中年に向かう年代30歳後半の男性の心情を描いた短編集。 2008年7月
流星ワゴン 人生に疲れた中年男が、過ぎ去った人生の分岐点を現在の視点で体験する辛い不思議な体験を通じて、再生のきっかけを掴む物語。 2006年1月
最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙

戦時中に米軍は確保した手紙や日記を、日本人の思考方法、軍情報を得る為に解読した。その記録が米国の図書館に残っていたそうだ。
そこには、激戦で死に行く人たちの肉声・本心が刻まれていた。誰しも天皇万歳で死んでいったわけではなく、戦争の意味、家族や恋人のことを思いながら亡くなっている。

2007年8月
 実川真由 受けてみたフィンランドの教育 真由さんが高校2年の時にAFSのシステムで留学したフィンランドでの体験を、母親の元子さんがそれを引き取り親としての立場からの感想と教育システムの差異などについて記している。
教育や人生のついての両国の考え方の相違などを、体験に基づく実例で示しており面白い。
高校生や多くの親達、教育者、政治家にも是非読んで欲しい本だ
2007年11月
 司馬正次 ブレークスルー・マネジメント × ちょっと分かりづらく、くどい。 読んでいて面白さがなかった。 2007年2月
 司馬遼太郎 戦国の忍び

史実に基づいて書く司馬さんの小説。
仕事を受注して下忍(=忍者)を依頼主に派遣する上忍と、使い捨てされる下忍の身分制度が歴然とある。全く知らない世界だった。 まるで派遣会社と派遣社員と同じだ。

2007年4月
 志水辰夫 うしろ姿

人生のたそがれを迎えた主人公を描いた短編集。7編が収められているが、いずれも心にしみる作品だ。しかし、やっぱり短編は個人的に好きでないので、△評価。
しかし、短編の好きな方にはおすすめです。

2006年2月
 ジョニー・ハイマス 鳥居のある風景

著者の後書きに、『35年前に日本にやってきて、瞬時にこの国に魅せられた。日本の自然、文化、歴史、代々受け継いできた農業と漁業の技術、そして仏教と神道の芸術を撮影することに深い情熱を感じた。』とある。
本書はその撮影した12万点の中から、鳥居のある写真を取り出した写真集だ。まさに、彼が魅せられた日本の美の写真集と言っていいだろう。日本の山、海、里山、そして四季折々の鳥居のある風景が収められており、本当に感動した。

2008年1月
 白石一文 すぐそばの彼方 皆さんの本を選ぶ基準は何でしょうか? 私の場合、まずタイトル。本屋さんで歩きながら文庫本を探すが、タイトルに興味を持たないものはまず手に取らない。 次に著者。 好きな作家、以前読んで面白いと思った本の著者の本があれば手に取る。
本書はその両者でヒット。一瞬の光は面白かったし、タイトルがいい。
2005年11月
 真保裕一  誘拐の果実(上、下)

誘拐ものミステリーだが、その動機、手法が独創的であり、一気にはまり込んだ。読後感も実にすっきりした本だった。

2006年4月
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 瀬尾まいこ 天国はまだ遠く 瀬尾さんらしい、メルヘンチックな自己再生本だ。 
自ら転勤赴任した丹後での印象からこのような作品を仕上げたのだろう。作家というのはやはり感性が鋭いと思う。
2007年4月
幸福な食卓 朝食は必ず全員一緒に採る。 そんな家庭から母が出て行った。残された父と息子(直)、娘(佐和子)が囲む食卓で「お父さんは、お父さんをやめようと思うんだけど・・・・」と父が話すところから物語が始る。 2007年1月
 関口尚 そのままの光 ☆☆☆** 青春小説と言うのだろうか、思春期の少年時代の友や異性との関わり、心の動きが描かれていた。いずれも、ちょっと大人になった頃に振り返る形式になっており、感傷が伴う。読む内に自分のその時代が心に懐かしく甦ってきた。 2009年2月
 瀬名秀明 八月の博物館 この作家の頭の中はどうなっているんだろうか? あまりにも複雑で奇想天外で驚かされる。
主人公は小学生のトオル。小学生最後の夏休みに偶然入り込んだ博物館から、時空を越えた壮大な物語が始る。
2007年4月
あしたのロボット

三重丸にしたいくらいに面白かった。
本書はSFに分類されるのだろうか? 20世紀後半から2030年までのロボットと人の心の係りを描いている。

2007年3月
TOP
 曽野綾子 謝罪の時代 ☆☆☆** 今の日本を作家の目で見て感じたことが書かれたエッセイ。我々が日頃からおかしいなと思っていることをズバズバ言っているので、うんうん、と同感しながら読んだ。 2009年1月
た行 TOP
 高樹のぶ子 湖底の森

人の死とそれにまつわる思い出からなる短編集。
人は皆、人に言えない秘密を宿して生きていると思う。ある人の死によって、その秘密にしていた記憶が懐かしい記憶や辛い記憶として甦る。 
そして、その記憶と現在の生き様が重なり物語が展開するし、それを読んでいる自分の人生も展開する。

2006年3月
 高間新治 竹百態

四季の竹林を写した写真集。
竹林には余りいいイメージを持ってなかったが、この写真集はそのイメージを一新させる。あっと驚くような美しさ、力強さ、若々しさなど、多様な美しさを写し取っている。芸術家の感性には感心させられる。

2008年3月
 武田邦彦 食料がなくなる! 本当に危ない環境問題 ☆☆☆**

温暖化は日本にとって本当に困ることなのだろうか? 著者は本州が沖縄の気温になり、北海道が本州の気温になるのだから、日本の食糧生産能力は増大するという。だから日本にとっては温暖化歓迎だと。
世の趨勢に流されるマスコミにはない切り口で環境問題を切る、面白い本だ。

2008年12月
 唯川恵 ベター・ハーフ ×

会社の同僚から貰った本です。私にはちょっとついて行けませんでした。愛し合っていたのだろうが、多くの打算を含んだ二人の結婚。その式当日に、新郎の恋人が新婦を狙って侵入。何とかその場は収まり、初夜を迎えるが・・・・

2008年2月月
 立松和平 知床 森と海の祈り ☆☆☆** 著者のぼくとつとした喋りが好きで何冊が読んできたが、本書は宗教色の強い本となっている。素朴で自然と共存している知床の生活と宗教、著者らしい。 2008年12月
浅間

江戸時代、活火山浅間山の麓に住む女性「ゆい」の16歳から23歳までの物語。人生の幸せと無常とをゆいの人生を通して描いている。
現代のわれわれはこんな人生を送れるだろうか? 私ならば気が狂いそうであるし、自分の娘にはこんな人生は送らせたくない。

2006年4月
月光のさざなみ

床の若い二人の猟師の一年を冬から秋に掛けて書いている。著者のことだから、恐らく番屋に一緒に寝起きして書いたのだろう。ちょっと暗いが彼らしい本だ。
知床の暮らしは厳しい。多くの友が都会へ出て行くが二人は猟師になった。何よりもこの自然、海が好きだから。
でも、この自然は常に死と隣り合わせ。

2007年4月
田中長徳 カメラは知的な遊びなのだ ☆☆***

『右手にライカ、ポケットにデジカメ』これが、著者の知的カメラ術。ちょっと私のスタイルとは違うかな。そういう意味で、インパクトの小さい本だった。

2009年1月
 玉岡かおる お家さん 神戸の小さな店から日本最初の総合商社にまで発展させた実在の女性の生涯を、語り調で描いた小説だ。
女性の著者らしく、女性の視点・立場で、人の一生特に女性の一生を社会との関りと共に描き出している。明治から大正にかけて大きく時代が動く近代が描かれ、胸躍らせながら一気に読んだ。
2008年4月
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 辻内智貴 帰郷 同年代の男性が著者だ。本書には『帰郷』『花』『愚者の一燈』の3篇が収められているが、著者の心が現在の心境が反映していており、寂しい。
誰しも50年生きて来ると、自分の人生は何だったのだろうと思う。恐らく著者もそのような心境下の時に書いたのだろう。 そういう意味では共感できる部分も多いが・・・
2007年4月
 筒井康隆 時をかける少女

時をかける少女、悪夢の真相、果てしなき多元宇宙の短編3本が納められています。いずれも著者の初期の作品とのことです。
理科室を掃除していた和子は、不審な人物を発見するが、その際不思議な臭いを嗅いで倒れる。それから、和子に異変が起きる。時間が戻る・・・・

2006年11月
 廿樂美登利 室内で撮る花のポートレート -

者は50歳から写真学校に通い、プロになった女性。室内でクローズアップ写真を撮るポイントとして
光、アングル、フレーミング、ピント、背景の工夫を実例を挙げながら解説している。

2006年8月
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 堂場瞬一 標なき道

オリンピック選考レースを前に、ドーピングの誘いを受けたマラソン選手を中心とした3人の男達のレースに懸ける物語。読後感もすっきりの楽しめる作品だ。

2006年12月
 童門冬二 小説上杉鷹山 財政崩壊で崩壊寸前の米沢藩を養子に入った17歳の鷹山が立て直す実話を小説化したもの。現代の企業改革(リストラ)と重ね合わせて、現代風に書かれている。 2005年11月
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 南木佳士 海へ 精神を病んだ医者の日常と太平洋に面した友人宅への旅行での人との触れ合いと自らの心の動きを淡々と綴った私小説。病気に打ち勝ったが、完全に回復していない著者の心や友人宅の家族模様と心の傷が素直に語られており、心に染み入る本だった。 2006年3月
 ニコラス・スパークス 奇跡を信じて 一言で言えばアメリカ版『地球の中心で愛を叫ぶ』でしょうか。アメリカでは260万部が印刷されベストセラーになったようですが・・・我々とは行動様式も信仰も違うのでちょっと違和感がある。 2007年4月
 西川祐介 蛍の里 写真集 蛍の写真撮影の勉強で借りてきた。ほとんどがシャッター開放5〜10分と、長時間開けて撮ってます。私の写真の30秒〜1分では短すぎました。 2008年6月
は行 TOP
 橋田壽賀子 旦那さま大事 山内一豊の妻

現代でも「子供はまだ?」といらぬおせっかい質問が、夫婦を悩ませているが、当時は大変だったと思う。そんな時代、必死に生き、大名に上り詰めた夫婦は立派。
でも、人の幸せとはなんだろうか? とも思う本だった。

2006年3月
 橋本紡 空色ヒッチハイカー ☆☆☆☆*

軽く読める青春小説。若いときを思い出したい人向けかな(笑)
主人公は18歳の少年。ずっと兄の後姿を追って生きてきたが、その兄が消えた。羅針盤がなくなった主人公が、兄の空色の車を運転して夏休みの九州旅行に出発する。

2009年3月
 畠中恵 しゃばけ

江戸時代、妖怪達と暮らすファンタジー&ミステリー。奇想天外で楽しく読める。
薬屋の若旦那がある夜、人殺しの現場を目撃する。犯人に追われるが、妖怪の助けで逃げおす。以来、おかしな事件が連続しておきる。いずれも殺されるのは薬屋。
やがて若旦那の身にも危険が・・・

2007年3月
 浜崎勢津子 帰宅 ☆☆***

誰しも中年域になると、心に穴が開いたような空白時期がある。本書は主にそんな女性の心の動きを描いた短編集。10篇が纏められている。
最初の1,2話を読むと、荻原浩の女性版だろうかと思った。

2009年1月
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 東野圭吾 パラレルワールド・ラブストーリー ☆☆☆**

この小説は、人が自分として存在する『記憶』の領域に挑戦している。そういう意味で、クローンのもう少し先を行っている。
人の脳内でどのように記憶がなされ取り出されているか、そしてその改変は可能なのか。本書の主人公達はその研究を行っている。

2008年10月
容疑者Xの献身 ☆☆☆**

別れた夫に付きまとわれ衝動的に殺害した隣室の女性に片思いの男、天才数学者がこの女性を助ける為に完全犯罪に見せかける。
警察は数学者の罠にはまり、容疑者を確定できない。

2008年10月
さまよう刃 愛する娘の死体が荒川で見つかった。少年達に陵辱され殺されたことが分かり、父親が復讐を誓う。一方、警察の捜査員達にも無力感が漂う。いっそ、復讐を果たさせてあげた方が良いのでは・・・と 2008年7月
ダイイング・アイ 主人公はバーテンダーの慎介。2年前に交通事故を起こしたが、その記憶がない。そんな彼に、色々な災いが引き起こされる。ちょっと嬉しいアバンチュールも。 2008年7月
流星の絆

幼少の頃に両親を惨殺されてしまった三兄弟が、時効成立寸前の14年後に犯人を見つけ、警察に逮捕させようと活躍するミステリー。
兄弟愛、親子愛、そして恋愛も絡み人情たっぷりに物語が進行し、ハッピーエンドで終わる。一気に読み進み、清々しい読後感があった。

2008年4月
分身 「面白かった」が一番の感想。一気に読んでしまった。
核移植、クローン、権力者の横暴、親子愛、そして未も知らずの二人に湧き上がる気持ち・・・そして東京と北海道で交互に進行するスリリングな展開。一気にページが進んだ
2005年11月
鳥人計画 

日の丸飛行隊(スキージャンプ)内での、エースジャンパー毒殺を巡るトリック殺人のなぞを解くミステリー。
現役を引退したコーチ峰岸は、自らの手で世界一のジャンパーにするため一人の天才ジャンパー楡井を育てる。しかし、楡井は恋人の前で突然息を引き取る。
この死を解明するために警察が動き出すが・・・・

2006年11月
ゲームの名は誘拐

でも、この本は、あまりにもいい加減に進む『誘拐』に共感が持てず、いまいちでした。ちょっと主人公が軽薄すぎるように感じます。
とはいえ、中盤からの展開はさすが東野さんです。映画化されたとのことですが、素晴しいものになると思います。

2006年06月
 ヒキタクニオ My name is TAKETOO

手に取りページを開くと、『2060年、オリンピックゲーム』とあり、『100m、夢の7秒台』・・ う〜ん、面白そう・・と私が一番目の読者になった^^

2008年6月
 樋口明雄 狼は瞑らない ☆☆☆☆* 帯には『山岳冒険小説の金字塔』とあり、いかにも面白そうなので読んでみた。その通り、一気に樋口さんの描く世界にのめり込んでいった。この手の小説が好きな方にはお勧めです。 2009年7月
 ヒネル・サレーム 父さんの銃 イラクからイタリア、フランスに亡命したクルド人作家の、自伝的小説。アメリカ・キッシンジャーがクルド人を支援した時代からフセイン政権までの間、少年アザドが見たそして体験したイラクのクルド人自治区が描かれている。 2007年7月
 平田剛士 そしてウンコは空のかなたへ 

読んでいる人が『廃棄物リサイクル』を考えやすいように良く整理され、問題提起されている。
食品トレー、ペットボトル、携帯電話、パソコン等、我々の生活に必要な15種類の物の現状(使用状況と利便性)と廃棄方法の現状を、著者自身が現地調査に赴き非常に良く調べ上げている。

2006年8月
 平谷美樹著 運河の果て ☆☆☆☆☆ 西暦2800年の世界を描いたSF小説。3人の主人公からなる3つのストーリーが同時進行して最後に交錯する。読みづらく最初はいまいちかな、などと思い読み進んだ。しかし、3つのストーリーのいずれもが面白く、読み応えがあった。 2009年4月
 平山瑞穂 株式会社ハピネス計画  純粋な気持ちと屈折した心を持った若い男の再生物語といえばいいのだろうか。
失業して実家に戻っている主人公が、幼馴染の友人のはちゃめちゃな計画に振り回されながら、自分を見つめなおす。
2008年5月
 広瀬正 ツィス ☆☆☆**

ちょっと古いパニック小説だ。
神奈川で突然ツィス音が聞こえだす。この不快な音が、徐々に大きくなり東京へと広がり始めた。マスコミも政府も騒ぎ出し、東京が騒然となる。

2008年9月
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 藤井素介 雲の中の少年

できれば小中学生に読んで欲しい本だ。
主人公は小学4年生の豪太。旅館と建設業を営む両親のもとで、満州で暮らしている。
朝鮮人や中国人に対する差別を意識する日本人や軍部が多い中で、人の尊厳を説く父に育てられ真直ぐに育つ豪太。 
やがて、豪太の廻りも戦争色が増大していき、人生が大きく動き出す・・

2007年4月
 藤川太 サラリーマンは2度破産する

著者は早期に将来のキャッシュフロー・シミュレーションをすることを薦めています。何もしなければほとんどのサラリーマンが子供が大学に行く時期と、老後の2度破産すると説いてます。
そのためにどうすればよいかを分かりやすく解説した本です。

2007年4月
 藤沢周平 密謀(上、下) ☆☆☆** NHKの大河ドラマ『直江兼続』を藤沢周平が描いている。ドラマは戦国ドラマ的な勇壮な展開というよりも女性的に描かれており、いまいち面白くない。主人公の兼続も女々しい。
だが、本書に描かれている兼続は戦略家であると同時に勇敢な武将だ。そういう意味でドラマと対応して読むと面白い。
2009年3月
風の果て(上、下) 少年時代から藩の執政・家老になるまでを描いた時代小説。今の時代にも通じる機微を含んだ著者らしい長編だ。丁度NHKの木曜時代劇で放映されると知り、その前にと慌てて読んだ。 2007年10月
隠し剣秋風抄

映画化された『武士の一分』=『盲目剣谺返し』をはじめ9編の短編が納められている。いずれも、主人公が「隠し剣、秘伝の剣」で窮地を脱する面白い話だ。
江戸も末期になってくると、剣術よりも勉学が重要視される。そんな時代に生きる下級武士が、藩政、武家のしがらみ、女、恨みによって窮地に追い込まれる。その窮地を脱するのが、勉学ではなく、子供の頃から鍛え上げてきた剣であり、剣の修行を通じて培ってきた精神。
いずれの短編も気持ちのいい作品だ。

2006年1月
静かな木

岡安家の犬、静かな木、偉丈夫からなる3短編で構成されいる。いずれもほのぼのとした人情を描いており、思わず笑みがもれる楽しい本だった。

2006年3月
冤罪

下級武家の日常と人情を描いた作品集。作品としては面白い。
いつの時代でも男と女の関係、出世と金、人間関係は同じである。それに命を懸ける下級武士。必死で生きる世界が面白い。

2005年12月
蝉しぐれ

平和な日々を過ごしていた下級武士の長男の主人公が、藩内の跡継ぎ争いに巻き込まれた父の切腹から、どん底の生活になる。剣の修行に打ち込みながら、隣家の少女への淡い恋、固い友人との絆を通して、真直ぐに生き、再度勃発した跡継ぎ争いを知恵と勇気で切り抜け、立身出世する物語。

2005年8月
 藤田宜永 転々

を殺した中年男と、自分の生い立ちに引け目を感じ投げやりに生きる若者の人生を遡る短い旅の物語。

男に連れられ、東京都内の歩く旅をする過程で、自分の過去と恋、人生を見つめ成長していく若者の様子が描かれている。最後に謎解きのあるミステリー

2005年10月
 藤野千夜 中等部超能力戦争 ☆☆***

題名から超能力物で、七瀬ふたたび並みの物語を期待して読み出した。でも超能力なんて全然出てこない、ちょっとがっかりだった。
中学3年の主人公「はるか」の高3までの学生生活を描いた作品。

2009年3月
 藤原緋沙子 潮騒

浄瑠璃長屋春秋記との副題があるシリーズ物時代小説。
蒸発した妻を捜しに江戸に来ている侍新八郎。
剣術に優れた人格者である新八郎が種々のいざこざを解決していく痛快正義ヒーロー時代劇。
軽く楽しく読めた。

2006年7月
 藤原正彦 国家の品格

入院中の書店で手に取り、冒頭の「はじめに」を読み、これは面白いと購入。後で、ベストセラーになっていると知った。
著者の米国、英国そして日本での生活を通して得た、国家論、人格論を本音で展開しており、共感できる部分も多かった。

2006年4月
 船戸与一 降臨の群れ

インドネシアでのプロテスタントとイスラム住民の対立と内戦を描いた物語。ごく普通に暮らしていた一般市民が洗脳され、武器を取り、それまでの隣人や幼馴染を殺していく。世界のあちこちで勃発している内戦で、まさに今起こっている姿が描かれている。読んでいて辛くなる小説だった。

2008年7月
夢は荒れ地を

カンボジアを舞台に、日本を捨てクメール人の識字率向上、人身売買撲滅のために必死で動く日本人を描いた小説。
状況設定に若干無理があると思うがハードボイルド小説として完成しており、面白い。分厚い本だが、一気に読み進んだ。

2006年3月
TOP
 ポール・ギャリコ 雪のひとひら 

「人はなぜ生きるのか」、その意味を一人の女性の一生を通じて描いています。もっとも本は女性ではなく、『ひとひらの雪』を主人公にして擬人法で描いていますが・・
読み始めて、『なんだこれは! 絵本か?』と思いましたが、読みす進むほどに擬人化することで人の人生を単純化すなわちエッセンスだけを取り出して描いていることに気付きました。凄い感性を持った著者です。

2006年12月
 保坂修司  サウジアラビア−変わりゆく石油王国 2005年発行の最新のサウジアラビアの状況が記載された良本。  人民の様子、宗教、教育、政治が過去から現在まで分かり易く纏められている。 サウジを旅行する人、出張する人には是非おすすめ。 2005年10月
 星野泰三 超免疫力 

をはじめとする病気に打ち勝つためには、西洋医学だけでなく、それと併用して自らの免疫力を高めることが大事だと著者は主張する。
その免疫力を高めるための食べ物、サプリメント、運動法などが解説されている。

2007年7月
 穂村弘 本当は違うんだ日記 ☆**** 自分の思うことが出来ず、本当は違うんだという女々しい男の話。読んでいて嫌になったので、途中で読むのをやめた。 2009年3月
 堀田あけみ 声が聞きたい  個人からの依頼で「人の話を聞く」、もしくは「人に話をする」という会社を興した姉妹を中心に起きる日常を描いた作品。 2008年7月
 本多孝好 MOMENT 死ぬ前にひとつ願いがかなうとしたら・・・ 末期患者の願いをかなえつことで成長する病院清掃アルバイトの主人公。
4つの願いが描かれており、必ずしも共感しないものもある。  最後願いは安楽死。
2005年11月
真夜中の五分前
Side A

side-B
☆☆☆**

軽いタッチの恋愛小説だ。主人公は広告代理店に勤める「僕」。 単なる恋愛小説でけでなく、この会社の権力争いに巻き込まれる「僕」を中心に、サラリーマン小説的な一面もあり、面白い。

2008年9、10月
ま行 TOP
マイクル・クライトン 恐怖の存在 ☆☆☆☆* 本書はこのCO2排出と地球温暖化を扱ったサスペンス。ただ普通の小説と違うのは、温暖化に関する膨大なデータが出てきて、温暖化問題そのものを読者に考えさせるものになっている点だ。 2008年12月
 前田真三 前田真三集 完全版 ☆☆☆☆☆

美瑛の拓真館で有名な風景写真家の全集だ。一枚一枚の写真にどう考え、設定して撮ったかが真三さんの言葉で書かれている。

2008年11月
 マーク富岡著 300人のユダヤ人にYESと言わせた技術  読んでみて思うのは、交渉をする人間として当たり前のことをしっかりと書いていること。でも、読むと当たり前でも、実際にそれを実行している人は少ないし、自分自身でも出来てない。
2007年7月
 丸山健二 野の庭 

作庭、写真と言葉とあったので借りてきたが、写真も言葉もいまいち。ちょっと残念だった。
バラやテッセンが好きなのでしょうか、掲載されている種類も多い。

2007年5月
 三木卓 裸足と貝殻 ☆☆☆**

小児麻痺で足が不自由な小学生「豊三」の満州引き上げから、高校生までの暮らし出来事を綴った本。まるで伝記のようだ。著者の私小説なのだろうか。
戦後の混乱と必死に生きる人々の姿が、リアルに描かれており面白かった。

2008年9月
 三崎亜記 鼓笛隊の襲来 ☆☆☆**

三崎さんらしい不思議な世界の短編集。読み終わっての第一の感想は、そうしてそんな発想が出来るのだろうということ。
鼓笛隊の襲来 台風のように鼓笛隊の集団が日本に上陸した。進路に当たる市民には避難命令が出ている。
まるで台風の進路予想のようだが、何処かおかしい。一体何の話だ?と思いながら読み進むと、へぇ〜!と感心する。

2009年4月
となり町戦争  この本も全く奇想天外なストーリーが展開する。タイトルにあるように、となり町と殺戮を伴う戦争をする。しかも、地域振興のための一事業として。 凄い発想だ。 その戦争の開始から終結、その後までを主人公の『僕』を通して描く。 2007年1月
失われた町

貴方の住んでいる町の人全員が突然消えうせる・・・そんなことが想像できますか? もし起きたら貴方はどう対処しますか?
そう、この本は街の人々がそっくり消え、それに立ち向かう人々の物語です。

2006年12月
 ミチオ・カク パラレルワールド

タイトルに惹かれて読み出したが、難しかった。
ビックバンまではいいが、ひも理論になると??? ましてや11次元は・・・
子供の頃、宇宙の端はどうなっているのだろうと考えていた。現在宇宙は膨張しており、やがて膨張速度が減少して収縮に向かうというビックバン理論が出て納得していた。しかし、その後の研究では宇宙の膨張速度が増大しており、やがて宇宙は冷え切って死に絶えるという。

2006年2月
 見延典子 もう頬づえはつかない ☆☆***

早稲田文学部出身の著者の卒業論文と巻末にあった。
主人公は女子大生。 バイトをしながら文学部に通う苦学生だが、同棲していた男が出て行ってから一年も経つのに、いつまでも忘れられない。

2008年9月
 宮城谷昌光 孟夏の太陽 中国春秋時代の趙家の興亡を当主4人の人柄と忠臣に焦点を当てて描いた作品。 登場人物が多く、難しい中国名なので読むのに苦労した。 2005年11月
 宮嶋康彦 脱「風景写真」宣言

著者の言いたいことは分かるが、自然の神秘性にこだわり過ぎているようで共感が出来ない部分もあった。読んでいて疲れたというのが、実感。
しかし、テーマを持って撮れというのはいいアドバイスだ。何でもいい好きなものを撮り続ける、そうすることで技術も感性も磨かれていく。

2007年5月
写真家の旅

者の撮影した風景写真とエッセイ。素晴らしい写真に圧倒されました。 風景をとりたい人にはお勧めの本です。
桜を撮る為に、2週間もそこで野宿をして、最高のチャンスを待ち続ける・・・一瞬の美しさを見出した時に、シャッターを押す。

200年1月
 宮部みゆき 楽園(上、下) 『模倣犯』で活躍した前畑滋子が、死んだ息子が超能力を持っていた事を調べて欲しいと相談を受ける。一人息子を亡くした母のたっての願いで、断わりきれず調べだすが、滋子自身も前回の事件の傷が癒えていない。 2008年4月
あかんべえ

お化けの存在を信じますか? 信じなくても、いてもいいかな・・と思う人は充分楽しめる本です。
物語の舞台は江戸の町&庶民の暮らし、宮部みゆきワールドです。
主人公は12歳の『おりん』、病の最中にひょんなことからお化けが見えるようになる。

2007年2月
名もなき毒

読み始めて10頁位で、アレ? どっかで読んだシチュエーションと同じだぞ・・・?  そう、会長の娘と結婚した杉村一郎が主人公の『誰か』と同じだ。 著者さんはシリーズ物にするつもりだろうか。
物語は杉村が勤務するグループ広報室を首にしたアルバイトによるトラブルと青酸カリ連続毒殺事件とが絡み合いながら進行する。お人よしの杉村が両方に絡むことで、家族や周囲を巻き込んでいくミステリーだ。

2007年2月
ICO 霧の城 彼女の作品の中では異色の本だった。これほどまでの転換が出来るとは流石に宮部さんだと感心しながら読んだ。しかし、後書きで「プレステのゲームICOをもとにノベライズしたもの」と書かれてあり、少しがっかりした。
しかし、小説として、すばらしいものになっている。
2006年5月
誰か 軽いタッチのミステリー。途中でほんとに宮部さんのかな?と再確認した。
財閥会長の娘と結婚した逆玉の輿男が、自転車でひき逃げされ死亡した会長の運転手の娘達のために人肌脱ぐ軽快タッチのミステリー。分厚い本だが楽しく読んだ。
2006年4月
模倣犯1〜5

宮部みゆきさんは好きな作家の一人で、ほとんどの本を読んできたが、この本はいまいちだった。個人的には短編よりも長編小説のほうが好きだが、この本は何か無駄に長いような気がした。
とはいえ、1〜5巻を一度に買ってきて一気に読んでしまった。

2005年12月
 宮本輝 約束の冬

主人公は留美子だろうか、それとも桂二郎だろうか。タイトルからすると留美子だが・・
いずれにしろ、現代の1年間を二人の過去をベースに、周囲の人々の交わりを人間性豊かに描いた宮本さんらしい小説だった。近所、友人、兄弟、親子の情愛を「スローライフ」を核として、暖かく描いている。

2006年2月
星宿海への道 タクラマカン砂漠で行方不明になった義兄、その兄の人生と消息を捜し求める主人公、義兄の子を身ごもった内縁の妻及びそれに関連する人々との人生模様を描いている。 2005年10月
TOP
 村上春樹 羊をめぐる冒険 ☆☆☆☆*

村上春樹さんらしい小説だ。書評を見ると初期の三部作の一つとある。奇想天外な展開で、冒険とタイトルにあるようにエンターテイメント的な要素もあり、楽しく読めた。
いつも思うが、この著者の頭の中は一体どうなっているのだろう。その奇抜な発想には着いていけません。

2008年9月
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド いつもながら著者の頭の中はどうなっているのかな、と思う話の展開だ。心が慌しい時に読み始めたら、さっぱり物語が入ってこず、もう止めようかと思った。
でも落ち着いて読み始めると、一気に引き込まれた。
2008年6月
TVピープル なんといったらいいのだろうか、何だこれは!と思いながらも、不思議な感覚の世界に引きずり込まれていった本だった。
非現実的な全く想像がつかないような世界がたんたんと描かれた短編集だ。
TVピープル、飛行機、我らの時代のフォークロア、加納クレタ、ゾンビ、眠りの6編が納められている。
いずれも精神のひずみを描いているのだろうか。
2008年3月
国境の南、太陽の西

一人の男の小学生時代から30歳後半までの半生を、男の視点で描く。著者らしい美しい文章で、どんどん物語りに引き込まれていった。男は自分を変えなくては、そして成長しなくてはと常に考え、このままでいいのかと自問する。仕事、恋人、家庭までも。
ある意味では普通の男かもしれない。でも、自分の求めるものの原点が初恋の女性にあったら・・

2007年6月
スプートニクの恋人

主人公の『僕』、僕が大好きな『すみれ』は女性にしか興味がない、すみれが大好きな女性『ミュー』は男性を愛せない。3人の不思議な関係が、この情景のように描かれいる。読むほどに、なんとも知れない世界に入り込んでいく。

2007年2月
アフターダーク

目にしているのは都市の姿だ。空を高く飛ぶ鳥の目を通して、私達はその光景を上空から捉えている・・・・
このスタートの2行で、すっと物語に引き込まれていった。
この『俯瞰の目』が物語をずっとリードするが、それはたった一晩の出来事。アフターダーク、暗くなってから朝までの話。

2008年2月
 村山由佳 天使の梯子

すっかりこの作家にハマってしまいました(^-^) 
『星々の舟』『海を抱く』に続けて3冊連続で◎です。
いずれも心の傷を優しく癒している本です。著者の優しさと繊細さが表現豊かな文章で綴られています。
おばあさんと二人で暮らす主人公「慎一」。分かっちゃいるけど優しい言葉も掛けられない大学生。ちょっとした事から、おばあさんに悪態をついた翌朝、亡くなっていた。

2007年4月
海を抱く

高校生が主人公の青春恋愛小説。SEX描写が多いが、若者の心の葛藤と成長をテーマに描かれており面白かった。
物語は二人の主人公、光秀と恵理が一人称スタイルで交互に進む面白いスタイル。同じ場面が二度あるが、視点が違うのでドキリとする。

2007年3月
星々の舟 

父、兄、自分・暁、後妻の連れ子の妹・沙恵、後妻に生まれた妹・美希、姪(兄の娘)、一つの家族に起きる出来事を家族それぞれを主人公として描く短編連作小説。 
以前読んだ『翼』はよく覚えていないが、印象が全然違う、あれ?という感じで物語りに入り、一気に読んでしまった。
幸せって何だろう? 短編には一見直接の繋がりがない様に見えるが、家族一人ひとりの苦悩がこの課題を主旋律として描かれている。

2006年2月
 村松友視 ワインの涙 × 男の哀愁を綴った短編集。気持ちが沈んだ現在、余計に落ち込んでしまうので、3、4編の話を読んで止めてしまった。 2007年4月
 群ようこ著 れんげ荘 ☆☆☆**

有名広告代理店に勤める主人公40代女性が、お愛想だらけできつい仕事が嫌になる。そこで思いついたのが、仕事を辞めこれまでの貯金で暮らしていくこと。単純計算では月10万円で生活できれば、可能と実行に移った。

2009年4月
TOP
 目取真俊 群蝶の木 ×

暗い本だった。感想はそれに尽きる。
「帰郷」、「剥離」、「署名」、「群蝶の木」の4編からなる短編集。 題名から連想されるイメージとは全く違う展開。
3本目の「署名」の途中で、リタイアした。

2006年6月
 本岡類 夏の魔法

引きこもりの青年が牧場での生活を通して立ち直っていく物語。読んでいて楽しい本だが、話がうまく行き過ぎて(理想的過ぎて)、NHKのドラマを観ているような感じだった。
でも、父親の役目と苦悩と愛情、引きこもりになる少年の心の動きが丹念に書かれており面白い。

2006年5月
 百田尚樹 永遠の0ゼロ

戦後60年が経ったち戦争の記憶も風化しようとしている。そんな中、母が戦争で死んだ父はどんな人だったのだろうと言った一言。雑誌ライターの娘が反応し、司法試験に何度か落ち人生の目標を失った息子と共に祖父の過去調査を開始する。
まだ生存している老人たちから、戦争中の祖父の様子をインタービューすることで、この物語が始る。

2007年5月
 モリンダ・シトリフォリア研究会 ノニ・サイエンス

免疫力にいいとか、癌にいいとか言われているノニジュースのデータを知りたくて、買ってみました。
サイエンスと銘打ってあるだけ、免疫、安全性、精神安定、鎮痛作用、心臓疾患などの項目ごとに一つの文献データが開示されている。
ノニ全体でも2006年3月時点で124報の論文しか出されていない。そういう意味では、科学的データは少ないといえる。

2007年7月
や行 TOP
 柳澤更生 ビタミンCがガン細胞を殺す 2005年9月に『ビタミンCが選択的にガン細胞を殺す』とアメリカの学会で発表された。アメリカでは代替療法として多くの患者がこの治療を受けている(保険対象にはなっていない)
日本でも今年週刊誌で大きく報じられている治療法だ。
2008年7月
 柳田邦男 「人生の答え」の出し方 ☆☆☆**

書名から予想した内容とは異なり、死を目前にした人達の『自らの人生の受け入れ』が主題だった。そういう意味で、重たい内容だった。

2008年11月
 山崎豊子 花のれん

夫の寄席道楽から船場の店を潰した女性が、夫の死後、ど根性で興行師として生き大阪の寄席を刷新して成功していく物語。吉本興業の女主人をモデルとしているらしい。 
直木賞受賞作。

2006年2月
 山田一成 心のままに 心のままに人生の選択をした人達が幸せになる話し。あまりにも安易な人生の選択だが、誰しもこのようなことがあったのではないだろうか?
こうなれたらいいなぁ・・・と誰もが夢見る自分の人生。 それが占い師を信じることで実現するハッピーな物語。
2008年2月
 山田太一 見なれた町に風が吹く

胃潰瘍になり営業から広報に異動した37歳のキャリアウーマン香子は、何事にもやる気を無くす。そんな時に老人プロデューサーから映画を撮るので手伝ってくれないかと声を掛けられる。
スポンサーも老人、監督も老人。何でこんなおじいさん達と・・と思うが、やる気がない香子はずるずるとその企画に引き込まれていく。

2006年5月
遠くの声を探して

過去の出来事から脱却できず、人生を惰性で生きる男に、突然「声」が聞こえる。
精神に異常をきたしたのか? 会社の上司達は病院を勧める。
でも「声」との会話を進めるうちに・・・・

2006年6月
 山田敏和 大山 ぶなの森から 大山の自然に見せられた著者の写真集。これを見て、風景写真は難しいなと改めて思う。著者は、ぶなの森が季節を作り、大山の四季を彩っていることに美を見つけたのだと思う。 2008年2月
 山田宗樹 嫌われ松子の一生(上、下) 「惨殺された女性の生涯を通じて炙り出される人生の光と影を描く傑作巨編」に釣られて読み始めたが、いまいちの作品だった。
確かに、殺された女性(伯母)の人生を調べる現代を生きる若者と過去を生きる伯母の人生が交互に展開されている。
2005年11月
天使の代理人

中絶の現場で働く助産婦が『中絶を無くす』為に立ち上がる物語。恥ずかしい話だが、日本でこんなに多くの中絶が行われているとは知らなかった。
フィクションの小説だが、妊娠とは、胎児とは、中絶とは、そして人生とは何かを強く打ち出した作品である。重いテーマだが、ミステリー並みのスリリングな展開で書き上げられており、一気に読んでしまった。
考えさせられると共に、非常に面白い作品だった。

2006年7月
 山本文緒 群青の夜の羽毛布

家庭に恐ろしい秘密を持った精神に問題を抱えた女性とそんな彼女を好きになった男性との恋愛小説。
美しい女性と思って近づいた鉄男。付き合うほどに繊細な神経を持った女性さとるに惹かれていく。一方で、さとるの秘密を徐々に知り、こんな女とは別れたほうが・・・とも思うようになる。

2006年7月
再婚生活

読んでみると、タイトルとは大違いの『うつ病からの脱出=闘病記』でした(^-^)
うつ病の人は本当に多いですね。人の心はどうしてこんなに傷つきやすいのでしょうか?

2007年9月
 山田悠介 スピン

この本の主人公は誰だろうか? 複数の物語と若者達の心の描写と交流が同時進行で流れている。面白い作品だ。
身勝手なフリーターの修一が巻き込まれたバスジャック。いじめなどで孤立した少年達が、ネット内での閉ざされた交流に生きがいを見つけ、やがて世間をアット言わせようと、バスジャックを実行する。

2006年10月
 山本一力 かんじき飛脚 ☆☆☆** 今で言えば宅急便だろうか、加賀と江戸を5日間で月3回も走る三度飛脚。藩の密命を帯びてある荷物を運ぶ人情サスペンス。
当時の飛脚や人々の暮らしが良く描かれており、楽しく読めた。
2009年4月
損料屋喜八郎始末控え ☆☆☆☆* 上司の不始末の責任を負って同心を辞め、損料屋となった喜八郎。庶民相手の商売もするが、与力の影となって、町の問題を解決していく時代小説。 2009年3月
欅しぐれ 

江戸版企業乗っ取りといったらいいだろうか、江戸の商人の世界を描いた作品だ。
主人公は深川の老舗大店・桔梗屋のあるじ太兵衛。ふとしたことから知り合った賭場の貸元猪之吉と懇意になる。今で言えば社長とやくざの親分。でも、一月に1回の会合を重ねるうちに、お互い友として心から信頼と尊敬をする間柄になる。

2007年4月
梅咲きぬ

女そして女将としての器量が抜群の江戸深川の料亭「江戸屋」の4代目『秀弥』の生涯を、江戸庶民の生活と世相を映し出しながら、鮮やかに描いている。
一つは3代目の子育て。4代目として育成すべく、一人娘『玉枝』を厳しく育てる。
母として接するよりも、女将として幼子に接する。涙を流しながらも、娘は人として必要なことを吸収して立派に育つ。甘やかすだけの親には是非読んでもらいたい教育方法だ。

2007年6月
梁石日(ヤン) 海に沈む太陽(上、下) ☆☆*** 画家黒田征太郎青春時代をもとに描いたとあるが、戦後の混乱期から名を成すまでの激動の時代を描いている。当時の生活、風俗が鮮やかに浮かび上がり楽しく読めた。 2008年9月
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 葉青 螢降る惑星

日本に留学の中国人著者の作品。きれいなタイトルに引かれて手に取った。しかし、読み始めると、「なんだこれ」の印象。止めようかなと思ったが、最後まで読んでよかった本だった。 面白かった。
螢火虫、ダンスホール、雪、17歳の地図、桜・風・桜花樹からなる短編集。いずれも、著者の上海出身大学の留学生寮が舞台。

2006年5月
 養老猛司 本質を見抜く力 環境・食料・エネルギー ☆☆***

対談方式で書かれているためだろうか、愚痴の言い合いのような、社会批判の言い合いのような感じがして面白くなかった。
とはいえ、データベースで示されると説得力がある。特に農業に関しては知らない事実だったので、面白かった。

2008年11月
 横山秀夫 クライマーズ・ハイ 

読み始めると・・・止められなくなった。
舞台は1985年群馬県、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した。 家庭と仕事で心に傷を持った主人公の悠木は地元新聞の記者。その悠木がジャンボ機墜落のデスクに任命されることで、物語が展開する。 
ジャンボ機事故のデスクとしての心の葛藤を縦糸、谷川岳の衝立岩登攀と家庭との葛藤を横糸として行き来しながら、主人公悠木の内面を鋭く描いている。

2007年5月
 吉住侑子 旅にしあれば

女一人で生きてきた50代後半の女性が、自らの病気をきっかけに、故郷に家を建てて帰る。
旧友との親交を暖めるが、そこには田舎の古いしがらみが息づいている。
故郷を棄て東京に出て、勝手に生きてきた自らの人生。故郷に残りずっと慣習の中で生きてきた友人達。その交流が面白い。

2007年7月
 吉村昭 暁の旅人 × 江戸末期から明治にかけての蘭方医師『松本良順』の生涯を描く作品。
時系列で事象を羅列するのみで、小説としてはまったく面白くなかった。
2006年6月
 吉村達也 月のうさぎ ☆☆☆☆* UFO物です。ちょっと幼稚というか単純な感じもするが、このまま映画になりそうな位に面白い小説だ。
九州で目撃情報が頻発し、自衛隊員が写真を撮影した。国会で多くのデータを示しながら『UFOがいる』と発言し・・
2009年3月
心の旅 

不登校のリハビリ学園に入れたれた17歳の主人公『渚』が、ある日突然意識を失うと自分の意思が他人の身体に入り込んでいた。 最初は自殺しようとする若い女性に、次は死の淵にある若者の中に。そして、この現象は更に続く・・・

2007年5月
 読売PC編集部 パソコンは日本をどう変えたか ☆☆☆** 本書は私がフォートランを学んだ時代から現代までのPCと日本語変換の歴史が纏められており、自らのPC歴と重なり、懐かしく読んだ。 2008年12月
ら行
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 リリー・フランキー 東京タワー

母親が甲状腺癌に掛かる・・と既に聞いているのでどうしようかと思ったけど、家にあったので読んだ。でも思っていた辛さはなかった。
主人公の僕こと・著者の子供頃からの数十年間の家族との関わりが描かれた私小説。だらだらと出来事を書き進んでいるので最初はもう止めようかなと思ったが、懐かしく感じることも多々あり最後まで読んだ。

2007年02月
 ロナルド・ドーア 誰のための会社にするか  × バブルの崩壊以降、グローバル・スタンダードの名の下に株主利益が叫ばれ、『会社は株主の物』と意見が多くなった。 
著者は、この傾向に非を唱える。 会社が誰のものかは、国によって異なるべきであり、その国の社会にとって番良い形態があるはずだとの信念のもと、いろいろな観点から掘り下げている。
2006年9月
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2005年10月のブログ開設以降に読んだ本を、備忘録として簡単な感想と共に残してます。何を読もうかなと思ったときに、参考にして頂けると嬉しいです。

著者別:、わ

2010.3.22更新